■一般職を派遣社員で代用することの限界
が、そろそろクリティカルになりつつある。
ぶっちゃけ、1990年代末~2000年代初めの就職氷河期以降、ウチの会社は原則として事務一般職採用を行っていない。そこを派遣社員で賄っている状況がここ数年継続している。そして、事務一般職相当の業務の担い手は常時不可欠である。
長持ちする派遣社員もいるのだが、短期で辞める者も多い。
短期で職場を去る「権利」は、非正規雇用に認められて然るべきものだから、そこに対しては何も言うことはない。問題はむしろ、事務一般職相当の業務を誰にどう担わせていくか、という、会社としての方針の不在にある。
事務一般職とはいえ、「誰もが直ぐ、簡単に覚えられる仕事」ではない。当然ながら戦力としていくには、それなりの時間、労力、コストが掛かる。もちろんOn Job Training上は、周囲の協力は不可欠。でありながら、短期で抜けられたりする。正直これは堪らない。
断言する。短期での入れ替わりがあっても辛うじて業務が回っているのは、派遣社員の指導・育成を任されている、事務一般職のお姉さん達の努力と忍耐の賜物である。採用が止められ、後輩が居ない彼女らに、そうした労苦を担わせている現状は皮肉であるとしか言えないだろう。
だがそのお姉さんたちも決して永遠の存在ではない。いつかは会社を去るときが来る。また、去らないまでも異動等で別の業務への従事という形での戦力流出は大いにあり得る。
さらに、業務経験の蓄積が社内でなされなくなることによる「会社の基礎体力の低下」という火種もある。正直、中長期観点ではこれの影響が恐ろしいことこの上ない。
個人的に考える解決方法は3つ。
1.事務一般職採用を復活させる
2.事務一般職相当の業務は派遣社員で全て賄う、とし、然るべき教育プログラム、カリキュラム組み、支援の仕組みを構築する
上記2案の折衷案が
3.経験を積んだ派遣社員を直接雇用で雇い入れ、自社戦力化したうえ、業務プロセスの維持改善と後進の育成に当たらせる
である(正直、『3.』が現実解だと思っているが)。
直近では人件費削減=コスト低減が急務、というのは理解できる。が、その意思決定をした者(要は経営層だ)は、「その先」をどれくらい考えているのか、が甚だ疑問なのだ。偉大な先輩が大きくした会社を今、回している貴方達は、それをどのように我々世代に引き継いでいくつもりなのか。ここに対する回答がない。これは好景気:新人採用激増、不景気:新人採用激減、という、採用計画にも同じことが言える。その判断のツケは後の世代が支払わされるのだ。
貴方方がしなければならないのは「遺す」ことであって、「残す」ことではない。
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