ビジネススーツの6名は全て被告側の人間らしい。
被告席には2名、傍聴席に4名。被告席の2名は弁護士かな。 <後で誤りと判明(後述)
っていうか、今日は平日ですよ?俺夏休みだけど。
どう見ても部課長クラスばかり。わざわざ一人数万円掛けてここまで来るなんて、なんかおかしくね?
で、開廷。裁判官1名とその両脇に司法委員が1名ずつ。
最初は被告答弁書に関して、原告から質問はあるか?とのことで裁判官が話を切り出した。
事前に打ち合わせておいた、親父の質問は明快である。
◆もともと事実を認める被告側役職者複数の捺印入り報告書の交付を受けているが、その内容を被告自身が一部否認、一部不知とは一体どういうことなのか?
これに対して、被告は「しどろもどろできちんと答えられなかった」のである。
やはり、と納得しつつも、俄かにシンジラレナイ状況。
裁判官が入れたフォロー「積極的に訴因の存在を認めているわけでないということ?」を肯定していたので、やはり「訴訟戦術としての否認・不知」だったとの推測の確度がかなり高まった。被告発言でも「手続的に否認・不知という答弁書を作った」ニュアンスが出ていたので、事前の推測はほぼ正解だろう。
で、その後で裁判官は被告から和解提案があったことを説明。
……初耳なので、被告は少なくとも答弁書送付の後に作った、ということになる。
開廷時点で司法委員を同席させているので、裁判官も最初から和解を振るつもりだろうとは思っていたが、ここに来て被告提案の和解が出てくるとは、ねぇ。こちらからは訴訟前に和解を振っているのに、それを無視してこれかよ、と正直腹立たしい感じはした。
原告が和解に応じる余地を見せたことで、法廷での話し合いは終了。以降は所謂ラウンドテーブルに場を移す。
ここまでで開廷から15分……って、短っ!
ラウンドテーブルに移動するときに提案の和解内容を見せてもらったが、まぁテンプレ通りの内容である。慰謝料名目ではなく解決金名目での金銭交付を行い、他の債権債務は一切ないことを合意する内容。あとは金額か。
ラウンドテーブルには傍聴人は同席できない。ここからは親父の単独戦闘。
何度か控え室に戻ってきたが……。もうね、爆笑するしかない内容。
◆被告提示金額が低すぎる
「提示金額が低いこと」と「遠路はるばる大人数で来ていること」の整合性が全く取れていない。ここは親父が明確に指摘。司法委員から「この金額は有り得ないですよ」言われ、裁判官からは「今日、お金と手間を掛けて大人数で来ているのに、この提示をするなんて、如何にもお役所仕事ですよ……って、うちもお役所でしたね(笑)」と一人ノリツッコミをされる始末。この裁判官、ノリノリである。
◆終始ワンサイドゲームな話し合い
司法委員は「原告はお金目当てで提訴したわけではないとわかった」と言い、裁判官は「同じことされたら私も原告と同じ対応をしますねぇ」と言う。裁判官や司法委員という、公平・中立な第三者という立場から見てこの意見。……どんだけ被告がアホな対応をしたか、つくづく思い知らされるエピソードである。
◆何のためのその人数?
被告席に座ったのは弁護士ではなく法務部員とのこと。で、傍聴人は営業系の部課長クラス。解決金アップの被告内調整で手間取っていたようだが、そういう決済のために来ているわけでもなかったらしい。そもそもアップって言っても大したことのない金額で、うちの会社なら平社員レベルの裁量でできそうな金額なんだけど……。
こんな遣り取りがされ、被告提示の元金額の倍で決着。
この場で振込先口座番号まで伝えたそうな。
金額的には訴訟での請求額には遠く及ばないが、もともと「この金額は死守しよう」と考えていたベース金額があり、それに基づいて積み増した請求額にしたので、内容としては十分。要は「ベース金額を得るために、請求額を~円にしよう」というやつである。バカ高い請求額にしてもその合理的根拠の説明ができないので、安直な背伸びは禁物、としたがそれも功を奏した模様。ちなみに被告は最初の提示金額(『低い』と言われた金額)の合理的根拠が示せなかったそうだ。救いようがないわ。
最終的に金額に折り合いが付き、和解。ラウンドテーブルの話し合いは1時間ちょっと。
後日和解の書類が届き、被告から解決金の振り込みがされて一件落着、となる。
ちなみに和解は確定判決と同等の効力があるので、
・一事不再理の被告側反証
当たり前だが、原告は同一の訴因に基づいて提訴することができない。被告が「これで解決済み」と示す証拠となる。
・解決金という金銭債権の根拠
万が一、被告が解決金を支払わない場合、原告がその履行を請求する証拠になる。
という性質を有する。……まぁ個人的には「和解文書を額縁に入れて飾りたい」んだけど。
つづく。